加力方向をx軸、鉛直方向をz軸、これらに直交する方向をy軸として、上部の反力梁(17)は三次元空間の中oで並進移動と回転の6成分全てが拘束される必要があり、上加振台(11)は同じく三次元空間の中で、x方向とz方向にのみ並進移動を可能にし、その他のy方向移動と3成分の回転を拘束する必要があります。上部の(o, a, b, c, d, e)をクリックすることにより、各部分の写真を見ることができます。(o)をクリックするとこの初めのページに戻ります。
<反力梁>
反力梁は剛強な南北の反力壁上の12台の鉛直剛性の大きな積層ゴム(16)の上に乗せられ、48本の長尺PC鋼より線(16)により剛強な反力壁に50,000kN以上の鉛直力で縛り付けています。これにより、反力梁はz方向、θx、θyの方向に拘束されます。
ロードセルを組込み軸剛性が大きな4本のV字形リンク(18)は反力梁平面の図心を通っているので、x方向、y方向に拘束されます。下フランジの高さに接続することにより、試験体の剪断力によって反力梁に生じるy軸回りの捻りモーメントを極力小さくしています。軸剛性の若干小さなロードセルを組込んだ2本の平行リンク(19)により、反力梁はθz方向に拘束されます。
これらの6本のリンクには超強度鋼を用い、両端部の形状を板状または円柱状にして曲げ剛性を小さくしています。機械的なピンではないため、軸方向のガタが無く、反力梁の微小な変位によってロードセル部分に生じる曲げ歪みを十分に小さくしています。
<下加振台と上加振台>
基礎マットに固定された24本の鉛直アクチュエータ(06)のピストンロッドの上部には球面支承があり、この上面はx方向、y方向に滑るようになっています。これによって、無理なくピストンロッドにはFzのみが作用し、上下にスムーズに動くことができます。アクチュエータの上に置かれる下加振台(09)のx方向、y方向、θz回りの動きを拘束するために、4台のストッパーサイドローラー(10)を4隅に設けています。
さらに下加振台は、z方向には自由に動くようにしつつ、θx、θyが起きないようにしなければなりません。下加振台の4隅に設けた特別な鉛直ジャッキ(07)によって、これを成り立たせています。この特別なジャッキ(07)にはシリンダー内に上部と下部にオイルの入る油室が2つあります。左前方の上の油室と、右後方の下の油室を配管で繋ぎ、同様に左前方の下の油室と右後方の上の油室を配管で繋ぎます。さらに、左後方の上の油室と右前方の下の油室、同様に左後方の下の油室と右前方の上の油室を配管で繋ぎます。この状態で、繋いでいる配管と油室に10mPaほどの油圧を与えます。これにより、下加振台の上下の動きはスムーズに、θa、θbの回転が拘束されます。ここでθaとθbは斜め軸回りの回転角ですが、座標変換により、θx、θyの回転が拘束されることが分かります。
以上のようにして、下加振台はx方向、y方向、θz、θx、θyが拘束されることになります。上加振台は下加振台とともに上下に動き、この間に設置した並行レール(12)と直進ベアリングによりx方向にのみ動きます。
実大免震試験機 E-Isolationは、内閣府SIP第2期「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」の一つの研究として、防災科学技術研究所を管理法人として、京都大学、東京工業大学(東京科学大学)、免震研究推進機構の共同により進められ、多くの企業の基金拠出、会員企業の応援に支えられ、具体的な研究・設計・製作・施工は、多くの研究者・技術者の方々の協力によって実行されました。
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